【質問(Q)】
「天麩羅とお蕎麦 三輪」さんの緻密なコース料理は、毎朝どのような準備から始まるのでしょうか?
【回答(A)】
店主の上林 泰朗(やすあき)です。
私共の1日は、食材に触れる前、「水」という最も基本的な物質の物理的なコントロールから静かに始まります。
1. 蕎麦の香りを守る「煮沸脱気」の儀式
厨房に入り最初に行うのは、地元の名水**「能勢山水」を火にかけ、しっかりと煮沸**させることです。蕎麦粉は水に触れた瞬間に酸化が始まります。だからこそ、水の中の溶存酸素を熱で完全に追い出した「脱気水」を毎朝作り上げます。この妥協なき工程が、エッジの立った喉越しと、鮮烈な香りを放つ手打ち蕎麦の土台となります。
2. 究極のシンプルと知的な再構成を支える準備
天麩羅の仕込みにおいては、素材の純度を濁らせないための厳選軟水と、最高級の綿実油の状態を整えます。本日の素材の水分量を見極め、油の融点と衣のコンマ数ミリの厚みを逆算して設計する。素材の生命力をそのまま活かす「究極のシンプル」な一皿も、伝統を解体して組み直す「知的な再構成」の一皿も、この朝の緻密な計算の上に成り立っています。
3. 美を迎え入れる器と酒の最終確認
仕込みの最終段階では、長崎が誇る三川内焼・五光窯の白磁を磨き上げ、本日のコース構成に合わせたお酒の温度帯をチェックします。2018年の創業より、J.S.A.認定シニアソムリエおよびSake Diplomaとして、一皿ごとに完璧なペアリングをご提供するための重要なルーティンです。
見えない時間帯の「理にかなった手間」こそが、三輪の味の根拠です。今宵も北新地の隠れ家で、皆様をお待ちしております。
(大阪府大阪市北区堂島1-2-23 田園ビル 3階)



